M市のNPO法人「豊穣の郷」からSさんとDさんが来られた。あちらでも現在,ホタルの餌となる貝類の調査をしておられるそうなので,N君のデータとつき合わせて情報交換をする。コモチカワツボの同定方法を教えてほしいと言われたが,ソーティング後のサンプルを見せてもらうと,ほとんどミスはなかった。カワツボそのものの話題よりも,市民によるホタル放流が盛んに行われている地域で,どうやって外来種問題を提言していったらよいか,という議論になる。どうも,市民の中にはホタルの飼育放流それ自体に熱を上げている人がいるようで,まだまだ全体的には「よい河川環境を作ろう」という気運には達していないらしい。「外来種の貝だって,いないよりはいた方がいいだろう」という意見が出たこともあるという。市民方々の中には,外来種の貝が蔓延していることを知らない人も多いということなので,これ以上の拡散を防ぐためには,その存在を広く知らせて,この貝を別水系に移動させないようにアピールするのが筋である。しかし,この市にとってはホタルは観光資源でもあるため,外来種の存在の公表はイメージダウンとなり,いやがられるのではないかという指摘も受けた。しかし,中には話をわかってくれる人も必ずいると思うので,少しずつ,地道に話し合いを進めて行くほかはない。