オオナマズ祭り

今日は宇治へ魚をもらいに行く。卒論生N君は(自分の研究材料ですから)友人と一緒に朝3時過ぎに彦根を出て,自ら釣り大会にエントランス。
私は例によって,大会終了間近の正午に塔の島に到着した。相変わらず水位が高く,やや釣りにくそうな感じである。漁協の方々にお会いすると,皆さん口をそろえて「今年はどこでも魚が少ない」という。オイカワですらほとんど釣れていないらしい。N君にメールを入れてみると,彼も全然だめだとのこと。これは今年は空振りか,と少しがっかりする。
ところが,昼食の後塔の島に戻ってみると,神は見捨てたまわず,大小2尾のオオナマズと,カムルチーが一尾届けられていた。大きい方のナマズは標準体長を測ってみると88cm,体重は測定できなかったが多分6,7kgはある。私が今まで検査した中でも最大級だ。大きすぎてN君持参のクーラーボックスに入らなかったので,その場で捌いて,内臓と,耳石を取るため頭を切り落として持って帰ることにした。漁協の方がナマズ(もう死んでいた)を抱えて川岸に降りようとしたところ,手が滑ってナマズはそのまま川底へドボン。ああっ,貴重なナマズが…と青くなったが,幸いナマズが沈んだ場所はタモ網が届く深さだったので,すぐにすくい上げることができた。やれやれである。
持参の出刃包丁でN君がナマズを解体し,小さいナマズカムルチーとともにクーラーボックスに収め,ほかにオイカワ(たった4尾)などもいただいて,2時半頃に宇治を後にした。
帰学は4時半。すぐにナマズの処置をはじめた。N君に腸の粘液の中から寄生虫を拾い出すように指示し,私は外の靴洗い場で,ナマクビから耳石を掘り出す作業にとりかかった。まず出刃包丁でおおまかに肉を取り除き,次に電子レンジで10分ほどチンして(レンジの中でオオナマズの頭が回転する風景はなかなかのもの),皮と顔面の肉を取り除いて神経頭蓋を露出させた。頭骨の正中線に再び出刃を当てて2つに割り,無事に耳石を発見。約1時間の作業であった。
耳石を持って戻ってみると,N君が「これ,膨大な時間がかかります…」と困惑顔。サンプルを見てみると,腸の中は粘液と虫のどちらの分量が多いのやら,おびただしい虫の数である。昨年はせいぜい100のオーダーしかついていなかったのに,今年はどう見ても万はある。仕方ないので作戦変更し,同定用の一部個体を除いて,すべて粘液混じりのままビンに放り込んで固定することにした。あとで計数しなければならないが,これは計数盤が必要だ。もう一種類の寄生虫も,去年より数十倍は多い。
そういうわけで,昨年よりはるかに処理に時間をとられ,最初の1尾が終了した時には23時を回っていた,しかたないので小さいナマズカムルチーは冷蔵して,明日捌くことにする。