見通し不明

今週、オンラインで小テストをやるのだけれど、もちろんテキストやノートは見てもよいので(見ないでやれと言っても無理だし)、今までと作問傾向を変えざるを得ない。テキストを丸写しすれば済む問題は勿論、ネットで調べりゃホイホイわかるような問題も出せない。さて何点とれるのやら。

先送り

本年度実施予定だった二国間交流事業(渡航できなかったので当然、研究の進展はほぼゼロ)、どうやら来年度末までの延長が認められるらしい。それは嬉しいのだが、その場合来年度に予定されていた研究も1年繰り下げ可能なのかどうか、事務局からの通知を読んでもどうしても理解できない。来年度の研究をどうするかは年明けぐらいに詳しい連絡があるそうなのだが、今年の分の研究を1年延ばすかどうかは年内に希望を出さなきゃいけないようで、いったいどうしろというのだろう。

微視から巨視まで

 なぜ田んぼには多様な生き物がすむのか(2020.10新刊 京大学術出版会)

なぜ田んぼには多様な生き物がすむのか

なぜ田んぼには多様な生き物がすむのか

  • 発売日: 2020/10/30
  • メディア: 単行本
 

毎年12月に研究発表会を行っている水田生物研究会の常連メンバーを中心に、メジャーからマイナーまで水田生物について語った渾身の一冊です。思えば,今までは湿地や流域の保全の本に水田が登場することはあっても、水田生態系のみについて語った本というのはなかったのではないでしょうか(少なくとも私の記憶にはありません)。水田生態系の最新の入門書としてお勧めです。各章の著者が小は土の深さによる細菌や藻類群集の違い、数センチしか離れていない水底と水面の微小動物相から、大は日本列島の地史との関連性に至るまで,ありとあらゆるスケールで水田生態系を分析してみせるのは壮観と言ってもよいほどで、水田生態系のもつ重層的な意味合い(湿原として、一時的水域として、還元的土壌の存在場所として、撹乱地として…等々)がこれでもかと伝わってきます。

 

貧すれば逃げる

世の中で、日本の大学の研究者が外国に引き抜かれるのは当然だろうという意見が多く出ていますが、全く同感です。1年前のブログ記事をもう一度リンクします。これは昨年の国立大学理学部長会議で文部科学省から配布された資料です。国立大学の教育研究設備の現存価値(左)と教育研究設備予算(右)のグラフを見てください。文部科学省自体が、大学の設備が「老朽化・陳腐化が進行」していることを認めています。会議の席で、大学によっては、間接経費のつかない研究費をとった場合には相応額を学部経費から全学へ収めなかればならないところや、間接経費が3割以上つかない外部研究費の取得を認めないところもあるという報告がありました(旧帝大ですら、そんなところがあります)。学生の奨学金を取り上げて生活費に使ってしまう「毒親」が問題になりますが、現在の国立大学という組織はまさに毒親になりつつあります。これでは優秀な研究者ほど逃げてしまうのは当然でしょう。

m-urabe.hatenablog.com

マラリアート

今日は大阪のAダム建設現場見学に招待していただいていたのだが、先週からの大阪のコロナ感染者の増加の様子を見て、残念ではあるが参加を控えることにした。その代わり、市内で只今開催中のびわビエンナーレ寄生虫関係の展示があると聞き、そちらを見に行くことにした。

会場は彦根会場の案内所で、目玉は1950年代に行われた彦根市マラリア撲滅運動(彦根は沖縄を除く本土でいちばん最後まで土着マラリアが残った場所である)の記録映画とのコラボ作品。当時撮影したのと同じ場所の今の映像を並べて映したり、当時を知る地元の方が登場して解説したりする作品で、もちろん学術的にも非常に価値があり、最初から最後までじっくり鑑賞した(ちなみに同僚のT先生も出演)。当時、彦根城の堀は無論のこと、彦根市内で蚊の発生源となるあらゆる水路にはDDTが大量に撒かれ、そのせいで彦根のハエは薬剤耐性を獲得していたとのこと。その影響は今に何か残っていないのか、とても気になる。

夜遅くなって、留学生Jさんから「ホテルに着いた」という知らせが入った。彼女の空港への到着は3時頃だったはずだが、それから在留カードを受け取り、抗体検査を受け、その結果が出るまで空港にいなければならなかったので、やはり随分時間がかかったようだ。今夜はゆっくり休んでほしい。