寄生虫の安定同位体論文、ようやく受理通知が来ました。Kさんの卒論(何年前だ)です。
Kamiya E., Urabe M., Okuda N. Do atypical 15N and 13C enrichment in parasites result from isotope ratio variation of host tissues they are infected? Limnology (in press)
寄生虫は宿主より栄養段階は上のはずですが、普通の消費者と違いCやNの安定同位体比が上昇しない場合が多く、条虫や鉤頭虫ではむしろ下がるのが普通です。その理由についてはいくつか仮説が建てられていますが、まだ真剣に検討されてはいません。この論文は、宿主の組織間での安定同位体比の違いが寄生虫のそれに影響しているのでは?というシンプルな仮説を検討し、同時に他の可能性についても考察しました。おかげで寄生虫の生理学についてだいぶ詳しくなりましたが、この分野は宝の山ではないかと思っています。というわけで寄生虫学に興味のある学生さん、どうせなら寄生虫の比較生理学をやってみませんか?面白いことがいろいろ見つかると思いますよ。