想定外とは言わせない

昨日、「研究倫理セミナー」というものに出席しました。私も分担している講義の関係ではなく、科研費の申請のために大学で受講しなければならないアレです。

配布資料の一部がこちらで、不正事案が発生したとき大学が組織としてどう対応するかのフローチャートです。一瞥すればわかりますが、矢印が全部理事長を経由しており、また調査委員会も理事、事務局長、理事長が指名する学部長その他となっています。このような体制では、東北大や岡山大のように理事長や学部長などの管理職に対して不正申立てがあった場合、大学として対応することはほぼ不可能だと思います。どこかの大学で、管理職に対する不正申立てを想定した規程があるのかな?と思っていたら、大阪市立自然史博物館にはそのような規定があると教えていただきました。博物館のサイトの「博物館について」「不正防止の取り組み」から見ることができます。

大阪市立自然史博物館における研究活動上の不正行為又は科学研究費補助金等の不正使 用に係る調査等に関する取扱規程」では、

この規程において「最高管理責任者」、「統括管理責任者」、及び「事務責任者」とは、大阪 市立自然史博物館科学研究費補助金等事務取扱要綱にそれぞれ定める者をいう。ただし、これらの者がやむを得ない事情によりこの規程に定める職務を遂行できない場合は、相応の責任を有する者がそれらを代行できるものとする。

という一文があり、これは管理職が不正申立ての対象となった場合を想定しているそうです。実際に、世の中では管理職による研究不正が疑われる事案が発生しているわけですから、組織としては当然、そのような場合でも対処できる体制を作らなければならない訳ですが、世の中の大学ではどれほど実現しているのでしょうか。