教科書を使いこなすには

休日出勤して、例年この時期に行われる教育実習事前授業の立会。3回生の行う模擬授業に対して専門的な立場からコメントせよとの依頼だ。今の高校生物学の教科書は当然ながら私達の頃よりうんとハイレベルになっているし、実験のデータ解釈や歴史的な発展などもきちんとするようになっているので、丁寧に読み込んでいくとびっくりするほど構造的で、昔の丸暗記教科書とはずいぶん違うことに驚かされる。ただし、その「構造」に気がつくのは当然ある程度のバックグラウンド知識があることが必要なので、教員は教科書に書かれていること以上の知識を十分持たないと、教科書を十分に活かせないだろう(もちろん何の教科でもそのとおりなのだが、理系科目の中で生物学の場合は特に)。題名は忘れたが、教育大にいた時に、よく教科書に採用されている研究論文例の詳細を紹介した洋書があって、こんなのの和訳があれば現場の先生方の勉強用に便利なのに、と思ったことがあった。それから、教科書に名前の出てくる研究者については、教科書に書かれていることだけではその人の何がすごいのかわかりにくいので、バイオグラフィと業績をまとめた日本語のサイトなどがあったらとても便利そうだ(今のところ、ちゃんとしたものはなさそう)。時間があったら自分でやってみたいのだけれど、まあ退職後の仕事かな。