D論発表会その2

Gさんの学位論文発表会。シマミミズとフトミミズにおける残留農薬の取り込みが主なテーマである。実験によく使われるシマミミズは、日本の野外における優占種であるフトミミズに比べて濃縮係数が10倍ほど高く,シマミミズで得られた結果をそのまま野外のミミズに外挿はできないという話。フトミミズはほとんど農薬を蓄積しないという結果であったば、欲を言えば,これは農薬がフトミミズの体を素通りしているだけなのか、それともフトミミズは農薬の分解能力が高いのかがわかれば、生態系の中での残留農薬の循環に彼らの果たしている役割が明らかになってもうちょっと面白くなるのではないかと思った.
午前中は共同研究の打ち合わせ。琵琶湖でかつて行われていたとある水産業の復活という話である。しかし、よくよく話を聞いてみると、過去の産業形態は非常にバブリーだったようで、水産資源の保全という面から見ても環境保全という面から見ても、どう見てもアンサステイナブルだったとしか考えられない。確かに、昔の産業がみな環境に優しかったなどという保証はない。もしこの産業を復活させるにしても,環境負荷をかけず,さらに採算が取れるようなやり方を模索しなければならないわけで、これは結構きつい目標かも、というのが今日の感想。