琵琶湖のネタは尽きまじ

T君がコモチカワツボ稚貝の研究を開始した.実体顕微鏡を使って集めた稚貝の大きさは0.5mm以下で,シャーレの中を這っているのを見ても,肉眼的にはまったく貝には見えない(というか,存在自体を見つけるのがやっと).動くスピードは結構速いので大きめのゾウリムシのような印象である.これじゃあ,人の足にでも鳥の足にでも簡単にくっついて移動するだろうなあ.
今日の講義は琵琶湖の固有生物について,毎年のことながら,このネタはさすがにみんなの食い付きがいい.
ところで,琵琶湖で種分化した生物の代表的な研究といえば,ベントス食のタモロコからのプランクトン食のホンモロコの進化がある.これは,古典的なニッチ分けによる形質置換の例なのだが,現在,県内の自治体が,ニッチ分けを解消したらホンモロコの形質はどうなるかという操作実験(要するに水田でのホンモロコ養殖)を実施中である.ありがたいことにその成果が先日の新聞に出ていたので,早速今日のネタに使わせてもらった.田んぼで育ったホンモロコはやはりタモロコ化するらしい.
それにしても,新聞をチェックするだけで琵琶湖の生物ネタは毎年かなり貯まるもので,ありがたいことである.