私にも採れます

S井君と一緒に湖北へヌマチチブの採集に行く。本当はS井君が漁協へサンプルをもらいにいくのに便乗して,というつもりだったが,強風で漁師さんが出漁していなかったので,結局ヌマチチブ採りだけをしに行った。
今日の琵琶湖は風はきついものの好天で,湖岸にはコハクチョウをはじめとするたくさんの水鳥が吹き寄せられている。それを横目で見ながら,まずは当初S井君がサンプル入手予定だったM漁港ヘ行き,漁協の事務員さんに挨拶。なぜか自家製の佃煮をいただく。
そのあと採集地の今津へ。幸い,風向きの関係でここはほとんど波がなく,たこめがねで見てみるとヌマチチブの姿もまだちらほらと見える。最初はタモのキックサンプリングで数尾を捕まえたが,向うではS井君が投網でさくさくと採集している。ヌマチチブが投網であんなに採れるとは意外だったので,私も投網採集にチャレンジしてみることにした。
さて,私は投網は一応持っているが,私が網を打つところを見た人はほとんどいないはずだ。理由は簡単,投げても網が開いたためしが無いのである(私は”投げ物”が最高に苦手で,体力測定のハンドボール投げが10mラインに届かない)。いつも,学生の方が見る見る上達してしまうので,私の投網はほとんど常に「学生用貸し出し網」という状態だ。しかし,今日の狙いはヌマチチブ,如何に下手糞な投網でも,アイツならなんぼかはひっかかるのではないかという淡い期待がある。
ほとんど忘れている構え方をS井君に再度レクチャーしてもらってから,いざ第一投。…何だか琵琶湖を横から見たような形に落下する網。しかし,これでも私としては上出来の部類である。網をあげると,さすがにヌマチチブ,こんなへぼ網でも3,4個体が入った。なんと初心者向きの魚だこと。2時間程で必要な数の採集が完了する。

本日の獲物。もちろん,8割方はS井君の採集による。
魚採りのあと,まだ見たことのなかった今津のコモチカワツボ生息地が近かったので,ちょっと立ち寄ってもらう。たどり着いたのは,魚のうじゃうじゃしている田んぼの中の水路で,水が,おそらく10度以下の冷たさであり,無論湧水である。カワツボを見つけてその分布の「震源地」を探すといういつもの作業をしてみたら,震源地は住宅地の中のとある四つ辻であった。周囲に養魚場などは見当たらず,移入経路を推測させるようなものはなかった。ここもアクシデンタルな移入なのだろうか。それにしても,ここのコモチカワツボの密度はあまり高くないのに,第一発見者はよく見つけたものである。
そのあと,昼食をしてから帰ろうということになり,函館山の旧マキノ町町営そば屋に行ってみた。ここは知る人ぞ知る店で,地元産の蕎麦粉だけを使って秋から営業を始め,その年にとれた粉がなくなると休業する。そろそろ今年の新そばが出ているのではないかと思ったが,行ってみると残念なことにまだ開店しておらず,「今年の営業は12月10日から」という張り紙がしてあった。では,また次の機会に。
それにしても,投網というのは肘を挙げて肩を回転させる運動なので,肩こりの防止にはいいかもしれない。今度から,肩こりのひどい時には投網の練習をしようかと思う。