国交省、「脱ダム」提言の淀川流域委を休止へ

http://www.asahi.com/national/update/1024/OSK200610240092.html
えっ?という感じである。私も宇治川の魚類寄生虫の研究をしている一人として,この委員のメンバーには情報提供を行ってきた。特に,魚病源である外来寄生虫を今後コントロールするにあたり,水位操作WGの協力は欠かせないのだが,今後はどこへ話をもっていけばいいのだろう。
新聞記事にあるとおり,この委員会の目的は,淀川水系の河川整備計画制定のための提言である。ちなみに,現在までに策定された一級河川の河川整備基本方針はこちら。この内容に沿って,具体的な河川整備計画が立てられる。
http://www.mlit.go.jp/river/gaiyou/seibi/right.html
私は,前に授業の資料として,以前調査していた筑後川の整備基本方針(H15策定)を読んだのだが,正直言ってがっかりした。当たり障りのないことしか書いていないし,筑後川の環境の独自性についてもほんの少ししか触れられていない。はっきり言えば,文章の9割は日本のどこの河川にでも差し替えできる,ごく当たり前な治水と利水の必要性の列挙,それに「住民に親しまれる河川環境」といった抽象的な内容の環境方針だ。具体的なことは河川整備計画の方に載るのかもしれないが,それにしても,こんな内容の整備基本方針なら,各水系ごとに設置する必要などないのではないか,と思ってしまう。水系ごとに,その地域の抱える歴史や社会,生態系に配慮してきめ細かな管理計画を立てるというのがそもそもの目的であったはずだが。
新聞記事を読むと,どうやら近畿地方整備局の方で,整備基本方針・河川整備計画を,あらかじめある程度枠付けてしまいたいらしい。