昨日は近畿支部会の巡検で、摂南大学のS先生と淀川河川レンジャーのU田氏を講師として、主に寝屋川の市民参加型河川改修現場を見学した。

未改修部分の寝屋川は、川幅にまったく余裕のない典型的な都市河川。現在は水量・水質共に昔よりだいぶよくなったそうで、上から見ても魚の群れはたくさん泳いでいた。主にコウライモロコやボラだという。ただ、今日の摂南大学の学生さんの発表だと、底生動物の生息状況はまだよくないらしい。

1枚目の写真から少し上流側で、川岸の公務員宿舎の建て替えを機に、土地を確保してつくられた親水公園。この当たりは砂底が続き、そこに住む底生動物も下流の方より豊富だそう。

さらに上流、昨年完成したばかりの親水公園。ここでは、河川レンジャーのU田氏から、公共事業として川整備をする時の苦労話を伺った。「たとえば図面に定規で線を一本引くと、業者はそのとおりに土盛って、ユンボでとんとん突いて平らにしてまう。ガタガタにしたかったら、設計図もガタガタにしとかんと」と苦笑するU田さん。施工を請け負った土木業者としては「設計図通りに」「壊れないように」工事をするのが当たり前なので、川も建物や道路みたいに扱ってしまうのだ。以前、筑後川で、子供たちが登って遊んでいた大岩が「設計図にない」という理由で撤去されてしまったという話を思い出す。
この写真で、魚道の周囲の石張りが石塀のように真っ平らなのはまさに「設計図がそうなっていたから」だそうだ。それで、右側の暗渠放水口の上部の転石は「もっとガタガタに置いてくれ」と注文したら、こうなったという。土木業者との意思の疎通はなかなか難しい。

この親水公園では、低水敷の両岸を護岸せず、土羽のままにして、植物が生えるようにした。業者は「それじゃ崩れますよ」と言ったが、「崩れてもよい」と押し通したそうだ。そして、完成後数ヶ月で台風18号の襲来を受け、高水敷につくられた歩道は現在このとおり、崩れた。もちろん想定内ではあるのだが、工事の後3年間は監査があるそうなので、「その間だけは何とかせんと」とU田さんはやや困った表情。そりゃ、杓子定規に考えれば、施工後3年もせずに壊れたら欠陥工事だ。だから、川の堤外工事の場合、出水があれば壊れるのが当たり前と言うことを、行政にも住民にも理解してもらって柔軟に対処してもらう必要があるわけだ。こういう改修工事を上手にやっている自治体も方々にあるけれど、関係者の調整は大変だろう。