ニューラナーク

今日は聞きたい講演がほとんどない日なので、電車で1時間ほどの所にあるニューラナークのクライド谷の自然保護区へ出かけてみる。学会で、期間中にグラスゴーの近郊電車とバス乗り放題のチケットがもらえたので、これを使わぬ手は無い。
ニューラナークは産業革命期の街が保存されていて世界遺産にも指定されている所だが、そういう旧跡は一切無視して自然保護区の入り口にあるビジターセンターに直行し、地図をもらう。川に沿って片道2キロほどの散策路を往復するようになっている。双眼鏡をぶらさげ、地図を片手にいざ出発。
川岸はよく下草の茂った森になっている。ところで肝心のクライド川だが、がっかりしたことには水が非常に汚く、真っ茶色で泡が立っている。日本の渓谷とは違って、クライド谷は、谷の両側の数百メートル程が森になっているだけで、その外はすぐに牧草地なのだ。谷の上流側もきっと牧草地や村があって排水が流れ込んでいるのだろう。散策路の説明板には、ここでみられる生物としてヤツメウナギカワガラスといった清流の生物があげられていたが、こんな水に潜るカワガラスがかわいそうになってくる。
川岸に降りられる箇所があったので、何かいないかどうか降りてみる。水は茶色いが、手を入れてみるととても冷たく、10度ぐらいしかなさそうだ。この低温のおかげで、富栄養化しても水が腐るのを免れているのだろう。
よどんだ所を覗いてみると、モノアラガイの仲間がうようよしている。日本のモノアラガイと同じぐらいの大きさ。ほかには何がいるかなあと探してみると、3ミリぐらいの小さな巻き貝が見つかった。どれどれ、これは…う…

コモチカワツボですね…(がっくり)
イギリスには100年以上前に移入しているはずだった。
そのほかには、死に殻だけだが、淡水性カサガイAncylusを見つけた。
水生昆虫は、タニガワカゲロウの仲間が多く、わずかにカワゲラがいる程度である。多様性も生物量もかなり貧しい感じだ。
鳥は、イワツバメキセキレイ、オレンジ色の綺麗なウソ、ムシクイ系のなんか、ロビン、ミソサザイなどを見る。ハヤブサが営巣しているらしく「スコットランド一近くでハヤブサが見られる場所」という看板が立っていたが、今回は見ることができなかった。
晩にホテルに戻ってみると、暖房が入っていたのでびっくり。