そのまた続き

私はどうも、こういう問題を考えるときは悲観的だ。いくらきちんとした良いシステムがあっても、運用する側の意識次第でいとも簡単に無視される例をあまり身近に見過ぎたためか。
女性研究者の研究環境が抱える問題はもちろん出産育児にとどまらず、不安定な身分での雇用やセクハラなどいろいろある(この日記も遡ればあちらこちらで愚痴っている)。これらの問題を乗り越えていくための一つの意識として、私は女子学生に「決して自分のキャリアを安売りするな」と言いたい。特に学位を得た人は、自分はちゃんとした研究職に就いて定収入を得る権利があるのだということを常に意識してほしいと思う。院生でも、教員に対して「無償の奉仕は美徳」という「美しい」考えを決して持たないでほしい。自分か研究・教育面で教員を手伝ったのなら、正当な報酬を堂々と要求すること。それで嫌な顔をする教員であれば、そんな人権意識の薄い人物の指導は受けないほうがよい。
私の知っている具体的なケースでは、博士課程の女子院生に自分の講義の一部分を代講させた教員がいる。この院生は当然学位を持たず、非常勤講師でもなかった。もちろん賃金はない。私の見た所、この学生は自分が教員のように扱われたことを喜んでいたようにも見えたが(もし本人がこの日記を見ていて違うと思われたのなら連絡を)、もし彼女が講師として相応しいのであれば、当然ポストと賃金を要求して然るべきだったのである。こういうことが重なれば、当然女性のキャリアに対する報酬は低下する。その影響は、後に続く年代の人が被ることになるのだ。
愚痴に過ぎないとは思うが、毒は吐かねば溜まる一方なので…批判は受け付けます、いくらでも。