香り高きエッセイをめざして

目黒寄生虫館からの依頼で、ニュースレター用の読み物を執筆中である。400字×20枚=8000字は、昨年書いた「フィールドの寄生虫学」の一章に匹敵する量だ。ただ書くのはもったいないから、あとで何かに(教員研修とかオープンキャンパスとか)使い回せるような内容にしようと思う。
見本に送っていただいた3冊のバックナンバーの読み物のテーマは、マラリアと鉤虫とエキノコックスだ。いろいろな分野の人のフィールドワーク光景が生き生きと紹介されていて結構楽しめたが、偶々かもしれないけれど、そこはかとなく共通していることがある。マラリア原虫の寄生した血球の写真、エキノコックスで死んだヤチネズミの開腹写真、鉤虫のいっぱいついたオットセイの腸…寄生虫学には付き物の血の臭いだ。
この仕事をしていると慣れてしまって何とも思わなくなるが、初めての人には結構強烈に臭うだろう。自分の書いた文章も、やっぱり血の臭いがするようになっているのだろうか。というより、川魚の生臭さのする文面になっていそうな気もする。
願わくば、川の水の臭いのする読み物にならんことを。