失速

長い間ほったらかしになっている投稿原稿を再度なんとかすべく、関連文献(寄生虫生理学)を再び集めて読み始める。蠕虫の生理学的研究の論文は今でも1960〜80年代がメインで、1990年代以降はめぼしいものがない。つまり分子遺伝学的手法が一般的になってからの研究が非常に少ないということだ。トリパノソーマやマラリア、リーシュマニアで先端的な研究が花と開いているのとは対照的である。寄生虫の生理学・生化学はほとんどが治療薬開発のための基礎研究だから、おそらく医学分野では、大部分の蠕虫症は、もはや高い研究費用をかけて新薬開発する対象ではないのだろう(物理的な防除のほうがはるかに簡単で確実)。寄生虫代謝系は低酸素分圧に適応してかなりバリエーションがあると考えられ、まだまだ明らかにすることが山のようにあるのに、何とも残念なことである。