切り替え下手

昨日の実習で前期の授業はすべて終了し、あとはレポート採点を残すのみ。したがって今日は開放感に浸りながら仕事ができるはずの日なのだが、昨日の余波がまだあり、気分的にイライラ(今朝は血圧も高めだった)。気分転換失敗である。誰か誘って飲みに行けばよかったなあ。

遷移を見つめて

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昨日のI上川。昨日未明、上流ではかなり大雨になったらしく、大増水していました。護岸工事のため右岸に寄せられていた澪筋が、本来の左岸側に戻りつつあります。しばらくすれば左岸の根固めブロックの周辺が淵になり、魚やカワニナはある程度戻るかもしれませんが、何といっても残念なのは護岸上部の河畔林の撤去と高水敷のブロック固めです。もう高水敷に木が生えないので、この辺りでは魚の隠れ場所もホタルの蛹化場所も縮小してしまったことは間違いありません。

暑いのは嫌い

環境FW1・最終回のプレゼンテーション。今日のプレゼンははっきり言って「ちょっと手抜き?」な班が多かったけれど、テーマの着目点は各班とも悪くなかったと思う。得に(私がけしかけたのだけれど)河川改修による水温上昇問題を取り上げてくれた班は良いデータをだしてくれた。フィールドのY川では、改修されていない上流部は林地の中を流れているので日当たりが悪く、好天で暑かった先週でも水温21度台だったのだが、そこから改修部(流れが浅く平坦になっていることに加え、工事用道路のため河岸林が一部除去されている)に出たとたんに水温が上がり、流芯でも22度、流れの淀んだ浅瀬だと23〜24度になったという。水温上昇は変温動物にとっては酸素不足を招き、植物(藻など)には過剰繁茂の原因となるので、実は河川改修による負の影響のかなりの部分を負っているのではないかと思っている。特に猛暑になりやすい近年、その影響は顕著になっているのではなかろうか。河川改修を行う時のマニュアルに、配慮すべき条件として「改修後も水温が上昇しないこと」を加えるなら、河畔林や河床湧水などを簡単に潰すこともなくなり、ずいぶん河川環境保全が前進するのではないかと思う。

昨日のビワマスは、授業終了後、希望する学生に味見をしてもらった。今クールでは検討すべき課題にビワマスの遡上を取り上げた版が多かったのだが、誰一人食べたことのある学生がいなかったので提供したのである。味わってからもう一度、ビワマス保全する意義を考えてほしいものだ。

休みはどこへ

今日は代休日だが、オープンキャンパスの後片付けと届き物2件があるため昼から大学へ。南から送られてきた某寄生虫調査用サンプルは、九州の悪天候のため遅れる可能性ありと聞いていたが午後便できちんと到着した。A君に手伝ってもらって5時間がかりで検査したが、残念ながら目的のムシは得られなかった。30年ほど前に得られた標本があるきりという種類なので、もう幻のムシになってしまったのかもしれない。

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もう一つの届き物はこれ、なんと美麗なる魚体。

 

10年ぶりの再訪

5月に急逝された日本ハンザキ研究所の前所長・栃本先生を偲ぶ会に列席するため、10年ぶりに日本ハンザキ研究所を訪れました。先生とは福岡教育大時代から面識がありましたが、ハンザキ虫ことLiolopeの研究に当たって大変お世話になり、共著論文も出させていただきました。彦根から片道所要4時間、近畿地方を端から端まで横断する旅です。

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祭壇は研究所スタッフのみなさんが前日にハン研周辺の山で集めた植物で手作りされた、野趣あふれるものでした。とても素敵です。

 

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ミニアクアリウムで飼育展示中のオオサンショウウオ幼体。5歳ぐらいと思われます。つぶらな目がかわいらしい。

 

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ハン研は廃校になった旧黒川小学校を利用したもので、職員室はオフィスに、教室は図書室や展示室になっています。栃本先生による地元の生物標本コレクション。オオサンショウウオのみならず、目につく物は何でも興味を持って調べておられたようです。

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特に充実しているのがキノコ類のコレクション。公立の博物館でも、これだけを揃えているところはあまりないのではないでしょうか。

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ハン研周辺で採集されたキノコだけでもこんなにたくさんあります。

 

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オオサンショウウオのグッズコレクションの展示室。各地のポスターや幟旗、Tシャツ、ポストカードなど。

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そして圧巻の書庫。オオサンショウウオ研究関連のみならず、実に広い分野の文献を収集し、きちんと整理しておられました(寄生虫・魚病関係もしっかりと)。各分類群の生物の図書・文献はもちろん、オオサンショウウオの登場する小説類からマンガ、随筆等ももれなく収蔵されていました。

前回、2009年のオオサンショウウオ研究会朝来大会に参加して以来のハン研で、栃本先生没後の再訪となってしまったのはとても残念でしたが、今日は関係者の皆さんからたくさんの思い出話を聞かせていただきました。オオサンショウウオは寿命が長く(最低でも50年以上で、100年以上という説もある)、先生のライフワークだった個体群研究はまだ研究継続中です。おそらくあと100年ぐらいすれば、栃本先生を初め歴代のオオサン研究者の壮大な連名論文が出ることになるのでしょう。それまで研究を途切れさせることなく受け渡していかなければなりません。