Iさんの卒論で2回目のI川調査。今回、はじめて流心部の流速を測ってみることにした。激流なので人が流速計を持って近づくことができないため、岐阜のH先生のアドバイスで、川にフロートを流してビデオ撮影し、画像解析で流速を求めることになった。
ところで、フロートとして何を流すかが思案のしどころである。流れの強い河川では,撮影後のフロートの回収が難しく、そのまま流れ去ってしまう可能性が高いので,プラスチック製の物体ではゴミになってしまう。H先生のお勧めは、梱包材に使われている生分解性の発泡スチロールみたいなやつであった。そのほか、「大根の輪切り」をフロートにした論文も読んだことがあるので,予備実験でIさんに両方を試してもらった。その結果、梱包材は小さくてビデオに映りにくく、大根の輪切りは比較的比重が大きいため,流れが渦巻いたところに来ると沈んでしまうということが判明。どちらも欠点があることがわかった。それで次に,梱包材をたくさん袋に詰めてボール状にしてはどうかと考えた。袋も、水につけてもすぐには破れず、かつ数ヶ月以内には腐る素材でなければならないので、コットン100%の医療用ガーゼを使ってみた。

完成したフロート。

フロート作成後、私は買い物があったので別の学生の車で町へ行き、戻ってくるとIさんがビデオ撮影中であった。そして、川の水面にはなぜかピンクのビーチボールが浮いている。
「フロートは?」とIさんに聞くと、「それが、あの生分解性の梱包材、水につけたらあっという間に分解してしまって、なんかデロデロになってしまったんです」という返事。そして、そこにはスライム状の物質とガーゼからなる謎の塊があった。実際には生分解性というより水分解性の梱包材だっという訳である。それで、結局フロートはビーチボールで代用ということになってしまった。もっとも、今日はカヌー部の後輩たちが手伝いに来てくれ、下流側にカヌーを浮かべて流れたビーチボールを回収してくれたので,ゴミは出していない。聞けば,カヌーから落ちた人を救助することもあるので、流下物を拾い上げるのはカヌーイストの基本テクニックの一つだそうな。それなら最初からビーチボール+回収係にしておけばよかった。