分野の距離

1つのお仕事をさっくり片付け。またしても生態学者と寄生虫学者の思考回路の違いをまざまざと認識する。生態学者は理屈はたたき込まれているから,データの分析法なんかには大抵文句がつけられないのだが,(少なくとも日本には)寄生虫学や疫学の現場に親しい人があまりいないので,そういう人たちが長年積み重ねてきた経験知のようなものがすっぽり抜けていることが多い。そのような場合,いくら最新の洗練された方法でデータを分析していても,研究の前提がどこか非現実的で「あれ?」と首をかしげてしまう場合が多いのだ。逆に,寄生虫学者(臨床)は,現場経験は豊富だし,ディスクリプションの訓練は受けているのだけれど,理論には疎い場合がほとんどなので、せっかく面白い現象に遭遇しても事例報告だけで終わることが少なくない。お互いに勿体ないな,と思う。