@自宅

昨日、T山大学O先生によるこちらのサイトを見つけた。いわゆる「トンデモ」に巻き込まれないための指南書であるが、学問の世界というものについてとてもわかりやすく整理されているので、ウチの学生諸君にも一読をお勧めする。
「研究ごっこ」Q&A
ただ、O先生は文系がご専門なので、理系(特に生物系)とは「アマチュア」の貢献できる範囲がかなり違う。生物学においては、α分類学や分布調査といった記載的研究にアマチュアの貢献する割合が非常に大きいのは言うまでもない。寄生虫は事実上世界に一人もアマチュア研究者がいないので、アマチュアから情報提供してもらえる昆虫や魚類や大型植物の研究者が羨ましくなることが多々ある。言い換えれば、生物学ではある意味、文系よりもプロアマの垣根は低いのかもしれない。
ただし、垣根は低いが厳として存在する。アマチュアなら、研究の理由は「その生物が好き」「自宅周辺の自然について知りたい」「学問はロマン」で誰からも文句は言われないが、研究を(趣味ではなく)飯の種としているプロならば、自分の研究成果がその分野にどのような貢献をするかを絶えず考えるのが当然だ。また、「この生物の分布を決めている環境要因は何か?」とか「近年、この生物が減少しているが、どういう理由によるものか?」という実証型の研究に手を出したなら、プロアマ関係なく、同じ方法論の土俵に乗る必要があるのはO先生の仰ることとまったく一緒である(…のはずだが、「メンデルだって最初は無視されたではないか」「自著は査読付き論文ではないが、大変重要なものである。これを認めないとはけしからん」等々主張する”アマ土俵の”プロ研究者も時々存在するのでご注意)。

それにしても、「アマ寄生虫学者」を増やすにはどうしたらよいだろうか。ウミウシの向こうを張って、プロの動物写真家に依頼して美しい顕微鏡写真集を出版し、同時に光学機器メーカーがデジカメを取り付けられる安価な顕微鏡撮影装置を開発して売り出してくれたら、「誰でも手軽に撮影できる寄生虫写真ブーム!」が…来ないかなあ(ため息)。