I君の卒論材料である魚の条虫の種は,以前,条虫分類学者であるチェコのS教授が来室したときに同定していただいたものである.ところで,いくつか確認しておきたいことがあってS教授にメールで尋ねたところ,なんでも感染部位が件の種と違うらしく,同定のやり直しとなってしまった.ちなみにI君の調査地では,別の魚種からも条虫が出ており,ずっと同種だと思っていたが,S教授の指摘で改めて観察し直してみたら,どうも別種らしい.こちらは何なのだろう.
それにしても,日本に条虫の分類学者がいないというのは何かにつけ不便である.だれか,プロのサナダムシ分類学者を目指す若手研究者はいないだろうか.もっとも,日本には指導者がいないので,最初から海外で修業をしてもらわなければならない.