寄生虫学会自由集会

最初の分類形態談話会は、富山のホタルイカから人に感染する旋尾線虫の話題が2つ。臨床的に重要な種類で、発見から30年も経つのにまだ親虫に関して意見の一致をみないと言う摩訶不思議な虫。
生態疫学談話会では、会場であるH大で水生ベントス(ミミズなど)の研究をしておられるO先生に、トビケラの蛹の捕食寄生者であるユスリカの話題提供をしていただく。私もこれは知らなかったが、演者の指摘のように、トビケラの蛹を本気でサンプリングする人ってたしかにいない。分類屋は成虫を採るし、生態屋は幼虫を採るものだ。研究者が見逃していたステージで、こんなダイナミックな捕食が行われているということに新鮮な驚きを感じる。あとで聞いたら、今週の日曜日にも白神へサンプリングに行かれるということだった。この若葉の季節の白神山地なんてむちゃくちゃ行ってみたいけれど、残念ながらその日は私も京都で寄生虫採りが入っているので行かれない。
もう一つの講演はPARACONのY畑さん。寄生虫保全ということに関して、さすがは生態学会での自然保護専門委員らしく、関係用語の解説も含めて盛り沢山に解説。なんにもしてない発起人の片割れである私は、どんどん情報をアップデートしてくるY畑さんにただ恐縮するのみ。それにしても、人体に感染する種を中心として、寄生虫の撲滅の中心となってきた寄生虫学会で(ある人の陰口では、日本の寄生虫学会の現状は寄生虫「病」学会だということだが)、保全の話が語られるのは始めてのはずで、世話人のK野さんはこれだけでも隔世の感があったらしい。生態疫学談話会の歴史の中でも、今回は今までになく医学カラーを完全に払拭した講演だったと思う。それにしても、日本の生物種のリストにいまだに寄生生物がほとんど数えられていないのは、寄生虫学会が日本分類学会連合への加入を蹴ったことによるというのは初めて知った。なんでやねん。
それで、夜は恒例の百本の会。昨晩利用したホテルでなぜか寝つきが悪かったため、眠いことこの上なし。