本と虫

休日。朝から、学会出張のための買い物に出て、ついでに本も買い込む。久しぶりに哺乳類に関する面白そうな新書を2冊ゲットした。どちらも著名な方の本だし、既にお読みの皆さまも多いだろうし、恐れ多いので「評」はしない(一応どちらの著者とも会ったことはある)。簡単な読後感想のみ。

パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)

パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)

オトコの進化論―男らしさの起源を求めて (ちくま新書)

オトコの進化論―男らしさの起源を求めて (ちくま新書)

遠藤さんの本の内容のメインである「パンダの親指」の話は、ずっと前に「どうぶつと動物園」で読ませてもらっているが(グールドが遠藤さんの研究を知る前に亡くなってしまったのが返す返す残念)、その研究の話のみならず、博物館の収蔵標本の役割や動物をめぐる文化・都市伝説のたぐいまで満載である。とくに博物館・教育関係に興味のある学生には一読を進めたい。もちろん、研究者を目指す人にも、研究に対する著者の「熱さ」に触れてほしい。
山際さんの本は、後書きに書いてあったのだが「男性に元気を出してもらうように」という目的で書かれたものらしい。というか、そういう風に読むしかないだろう。科学エッセイというよりは、動物を引き合いに出した文化論である。評価は分かれそうである。
夕方から大学で上記の本などをうだうだと読んでいたら、9時過ぎに院生K君がカワバタモロコを携えて現れた。寄生虫が付いているということなので見てみたら、何だかよくわからないメタセルカリアであった。ついでに内蔵も見てみると、条虫の幼虫がごっそり出てきた。一塊になっているのでどうやら包虫のようだが、魚を中間宿主にする条虫で包虫をつくるものは初めて見た。また調べなければならないものが増えてしまった。寄生虫生態学をやる前に、否応無しに分類学の仕事が溜まっていく。固定を終えて帰宅は日付が変ってから。