環境科学概論Iを終えて

今日のアンケートをぱらぱら見てみたところ,「HP見ました」という学生が何人かいたので,ここに授業感想を少し書いておくのも悪くはないだろう。
今日,生物専門の教員に期待された講義の内容ではなかったかもしれないが,ある地域の環境問題の話を具体的に取り上げた。正直言ってこの題材がよかったかどうかはまだよくわからない。まず,私が問題の全貌を明らかにしきれなかったということがある(しかし,仮に明らかにできたとして,それを講義の中で公表できるかどうかはまた別の問題である。問題は現在進行中だから)。問題解決の方法もあれがベストであるというわけではなく,未だ暗中模索であるといってよいだろう。受講した人の中に「で,結局どうなったんだ」と思った人もいたに違いない。それでも,これから大学で勉強する一回生の皆さんに具体的に知って欲しかったのは,環境問題に直面すると,否応なしにどれだけの大勢の人の利害がかぶさってくるかという現実,そして環境と住民の関わり方も時代と共に変化しているということである。教育教材としての適当さには私自身まだ自信を持てないでいるが,現実味という点では今のところ,私にとってはこれが一番だったろうと思う。実を言えば,この日記にも先週2,3回書いたとおり,講義の下調べをしていた私自身が,背後に潜む問題の予想外の大きさに頭を抱え,「あんなに気軽にこの調査地に入るのではなかった」とさえ思った。こういう深大な問題に本気で取り組みたいと思う人が少数なりとも出てくれたら,また,幅広い視点の必要性を感じてこれから大学で勉強してくれる人がいたら,今日の講義の目的はとりあえず果たせたかと思う。