書評のツボ

今週は,授業の回り順の関係で,火曜日の講義が終わればお役御免である。今月の後半からはまた実習やオムニバス講義が入ってくるから,少々忙しくなるのだけれど。
著者のO先生から頼まれていた「魚類寄生虫学」の書評をまとめる。生態学会誌に書くように依頼されているのだけれど,実はこれはどう見ても水産学の本なので,かなり分野がずれている。O先生が一番興味を持っているのは寄生虫分類学や生活史,生活環の成立条件といった基礎生物学であることはよく知っているのだが,研究そのものは,やはり魚病の解明という必要性に始まり,実際に水産業に役立つ成果を挙げることを求められているわけである(逆に,病気が終焉さえすればその寄生虫研究はおしまいである)。その「実学」という縛りのある研究事例の中から,いかに生態学会員が興味を感じる「素材」を引っ張り出すか,それが書評のツボになりそうである。