隣の部屋のBさんから,「調査器具のアンカーにかずのこのようなものがくっついてきたが,何の卵か」と尋ねられた。アンカーはブロックのような形をしており,数日間琵琶湖に沈められている間に,ブロックの穴の中に産み付けられていたそうである。アンカーの水深は60メートル。
ウズムシじゃない?」と訊かれたが,ウズムシの卵嚢はころころした玉状だし,だいたいかずのこほどもある卵嚢を生むような巨大ウズムシはいない。貝にしても深底部にそんな大きな貝はいないし,環形動物の卵嚢とも違う。それで,とにかくブツを見せてもらった。
見ると,多少崩れているもののまさにかずのこ,つまり魚卵である。1卵の径は1ミリもなく,シシャモの卵ぐらいの大きさで,オレンジ色だ。ヨシノボリやカジカの卵のような付着性のではない。ワカサギかとも考えたが,何しろ水深60mから揚がってきたものである。そんな所に産卵する魚がいるのだろうか。卵は湖水と一緒に冷蔵庫に入れられていたので,Bさんは「飼ってみる」と言っておられる。…冷蔵庫の中で孵化したらすごいなあ…
琵琶湖はまだまだワンダーランドだ。