謎の湖底島

先月の初めに琵琶湖一周カワニナ採集の旅をしたのだが,まだ捕れていないのが北湖の島嶼に生息する3種と湖底の泥底に住む2種で,前者はスキューバ,後者は貝曳き採集が必要となる。スキューバ採集は潜水者の都合で10月以降に行うことにしているので、先日,湖沼環境実験施設のG籐先生に,その頃「はっさか」出航をお願いしますと依頼した。G籐先生も竹生島や多景島,沖の白石がそれぞれ固有種を有しているということは知らなかったようで,しきりに感心しておられた。
ところで,島嶼の固有カワニナと言えば,以前から気になることが一つある。琵琶湖には,山頂が湖面に出ていない「湖底島」があるそうなのだが,そこにカワニナがいるかという問題だ。G籐先生に湖底島の場所について聞いてみると,安曇川沖の琵琶湖最深部(106m)のすぐそばで,GPSとソナーで探せばちゃんと見つかるという。山頂は水面下20m,水深だけみればカワニナ類が生息可能な深度だ。ただ,アクセスは非常に難しい。水深20mとなると光はほとんど届かないし,ダイバーにとって,何もない湖の真ん中で鉛直に20m潜水するのは至難の業だろう。船からうまく山頂にアンカーを降ろして、そのロープ伝いに潜れば可能かもしれないが,G籐先生の曰く「そもそもアンカーを打てるような地形かどうかわからない」という。もし山頂が狭く尖った岩場だったりしたら,船上からそこを狙ってアンカーを落とすのは難しそうだ。何にせよ,もしそこにカワニナがいたら、世界中でもっとも入手困難な超レア種に認定されるのは間違いない。
湖底島の地図はこちら。沖の白石の南側にもいくつか湖底島がある。