ウナギ祭り

今日は、ウチのラボ史上、最高級の検体がやってきました(ちなみに自腹で購入)。

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琵琶湖の天然ウナギです。漁師さんから浜値で売ってもらいましたが,それでも良いお値段でした。10数年前にやはり漁師さんから大きなウナギを買ったことがありますが、当時と比べるとキロ単価は3,4倍になっています。貴重なサンプルですので、目的の寄生虫のほか、関係教員には研究上必要な部位を「腑分け」しました。サンプル採取した残りは手伝ってくれた院生が綺麗に捌いて冷凍してくれました。

 

標本流儀

昨晩は寄生虫学会北日本支部会の懇親会に参加しました。本来,北海道の会員のみで実施される会ですが、今年はオンラインなので全国どこからでも参加自由。そこで、事務局のS先生が「標本を語り倒す」という、飲みながら標本の作り方について自由にトークする企画をしていただきました。日本の寄生虫学教室は山口左仲メソドを引き継いでいるところが多く、標本は圧平するのが基本になっています。虫体が変形するとして海外の研究者からは批判されることが多いのですが、それでも細部の観察のしやすさでは圧平標本の方がダントツに上です(実際に海外の新種記載論文を見ると、吸盤・消化管・卵巣・精巣・卵黄腺程度しかスケッチしていない場合もあり、もっとちゃんと観察しなよ…と思うこともしばしば)。圧平すると虫体が伸びるので確かに計測値は大きくなりますが、同じやり方で作った標本なら比較可能なはずですから,私も圧平標本は別に悪くなく、「寄生虫標本とはそうやって作るもの」と決めてしまえばよいだけと思います。圧平しない方がよいのは条虫の頭節など、三次元的な構造の観察が重要な場合だけでしょう。

ウォーミングアップ

検査疲れもほぼ回復して通常運転に復帰。緊急事態宣言は解除になったが、今週いっぱいはリモート授業ということで「環境生物学I」第1回目はオンデマンド配信になった。来週からは対面授業になるが、また試験がどうなるかわからないので、昨年同様、毎回出席確認を兼ねてオンラインで小さな課題を一つ出し、それを評点に加えることにした。第1回は頭のウォーミングアップを兼ねてこんな感じ(元ネタは随分昔に「遺伝」に出ていた中井咲織先生の記事)。

次の「進化」という言葉は生物学的に正しいか。もし間違っている場合は,正しい言葉に変更せよ。
1. ピカチュウは「かみなりのいし」を使うとライチュウに進化する。
2. 大谷翔平エンゼルスへ移籍して劇的に進化した。

コンプリート

春に言い渡された3つのしんどい精密検査の最後の1つが、半年越しでやっと終了。もちろん異常はなく、「キレイですね〜、問題ないですね〜」で終わり。検査自体のしんどさは想像したほどではなかったが、準備に時間がかかり、それなりに疲れたので今日は休養する(特別休暇を取得した)。

食べますか?

まだproofですが、短報がオンライン公開されました。アズマヒキガエルから宮崎肺吸虫の幼体が出たと言う報告です。おそらく待機宿主になっているものと思われます。中国にいる基亜種のスクリャービン肺吸虫Paragonimus skrjabini skrjabiniはカエル類からの記録がありますが、日本のmiyazakiiでは初。宮崎肺吸虫の感染ルートとして、サワガニ→哺乳類のほか、サワガニ→カエル→哺乳類もありそうです。

www.sciencedirect.com