昨年度の講義の学生アンケートを見た。昨年「環境生物学Ⅰ」では、対面講義と平行してオンデマンド教材を作成し、講義終了後１週間公開ということにしていたのだが、アンケートの中には「授業前から公開してほしい」「１週間で公開を止めないでほしい」「スライドをダウンロードできるようにしてほしい」という要望があった。気持ちはわからないでもないが、これらを実施すると、そもそも対面授業の必要性がなくなってしまう。勿論、知識を伝達するだけなら対面授業の必要はなく、オンデマンド教材と言わずテキストを読んで自習してもらえば済む話だし、オンデマンド授業をするにしても、私は一度スライドをアップロードしてしまえばその後は講義しなくて済むので楽である。しかし、キャンパスへ来て対面授業をすることが必要だというのであれば、その分教員の時間を取ることにもなるのだから、「後からスライドを見ればよいから授業は真面目に聞かなくてもよい」という態度は厳に慎んでほしい。対面授業がメインになってもオンデマンド教材をアップしたのは感染症は勿論、心身の不調などで欠席する人が安心して在宅学習してほしいと思ったからで、授業形態の多様化自体は望ましいことだと思っている。また、もし学生から「オンライン授業で十分、対面授業は不要」という要望があれば、そのように実施することに何ら異論はない。しかし、いかなる理由であれ対面授業が良いというのであれば、「後からスライドを見ればよい」とならないため、授業スライドは講義後に期間限定で公開し、ダウンロード禁止という方針は変えないつもりである。
