さじ加減

私は若い頃は論文を書いて他の人にコメントを求めると「くどい」「冗長」と書かれてバシバシ削られるのが常で、段落丸ごと削られることも珍しくなかった。しかし、最近はレフェリーに「もっと書き込め」と言われることが多くなり、書きすぎを削られることはほとんどなくなった。勿論、結論を導くために必要最小限の情報は盛り込んでいる(つもり)なのだが、他人に丁寧に伝えようとする根気がおざなりになってきているのかもしれないし、単に1本の論文に掛ける情熱とエネルギーが下ったのかもしれない。まあ、論文に過不足なく情報を盛り込むというのはいつになっても難しいものだ。さすがに、窒素からアミノ酸に話をスライドさせた時にレフェリーから「窒素はアミノ酸の構成成分であることを説明せよ」とコメントがついた時はちょっと高校生物の教科書を投げつけたくなったけれど。