バーチャル生物多様性

帰省がてら、東京ミッドタウンの21-21で開催中の「虫展」を見てきました。これは昆虫にインスパイアされたクリエイターの皆さんによるアートデザイン展です。監修が養老孟司氏で内容はアートやデザインに留まらず、昆虫の多様性についてもかなりマニア度の高い展示となっています。※以下、館内の撮影可でしたので掲載します。

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カミキリムシの検索図を一枚のパネルに示した力技の生物多様性展示。横の動画にはムシの拡大図が示され、検索ポイントが次々にハイライトされています。こんなスタイルのデジタル図鑑ができたら使いやすいかなと思いました。この検索図をじっと眺めているお客さんは全くいませんでしたが…。

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東南アジアで昆虫採集されている方の1日の活動をビデオ撮影した作品。灯火採集に集まるガの大群の動画は虫嫌いの人は耐えられないと思いますが、足を止めて見入っている人が結構いました。

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トビケラの巣いろいろの拡大写真。こういうものはデザイナーや建築家の方の興味を引くのでしょうか。

本展は美術館という会場の性質上、展示物はすべてアート作品、映像、若干の標本のみで、生きたムシはただの1個体も展示されていませんでした(作品保護のため美術館にムシは持ち込めません)。生き物の気配がまったくない会場で生物多様性が語られる…というのはなんとも奇妙な、離人症のようにふわふわした感じがしました。せめて、出口のところに「このあとは本物の昆虫を見に行こう!」と、近くの公園や昆虫館の案内をするか、あるいは館外の緑地スペースで生きた昆虫を展示するなどの工夫があればよかったと思います。