大学院の授業で「Fifty years of invasion ecology」から2章ほど輪読している。今やっているのは28章「Changing perspectives on managing biological invasions:insights from South Africa and the Working for Water programme」で,民主政権が誕生してから超先進的な環境政策を打ち出している南アフリカ共和国の外来種政策についてのお勉強。同国が水資源管理について先進的立場にあるのは「生命の川」で読んでいたけれど。外来種政策のほうをちゃんと勉強するのは初めて。政治・施策的なテーマなのでウチの専攻の学生たちがどれほど興味を持ってくれているかは怪しいけれど,実際に大掛かりな環境事業を進める場合にどのようなことに配慮することが必要かはたいへん参考になるので,環境科学研究科に在籍するからには知っていて損はない話である。外来種管理の実際としてはもちろんのこと,それを別としてプログラム名の通り水資源保護,すなわち水源涵養林保全のプロジェクトとして読んでもよい。日本でも参考になることが多いだろう。このプロジェクトの大きな柱は水資源保護と同時に雇用の創出で,単に外来植物除去作業に人を雇用するだけではなく,日雇い労働者に職業訓練を施して起業させ,公共事業を請け負うことの出来る「業者」にまで育て上げてしまっているところがすごい。国を挙げて環境事業を起すと同時に,人を使い捨てないという姿勢が表れている。こういう施策は日本でももっとやってほしいもの。
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Fifty Years of Invasion Ecology: The Legacy of Charles Elton
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