ミミズのその後

ハッタミミズの展示を見にS水族園へ。「…水族館へミミズを見に行かない?」という妙な誘いに乗ってくれそうな人といえば業界仲間以外にはT嬢しか思いつかず、そして彼女は期待通りに乗ってくれた。有り難きことこの上なし。

水族館に到着してRhinogobiusさんを訪ねたところ、バックヤードを見せていただけるという嬉しいお話で、早速Tさん(私よりずっと熱心に質問しまくっていた)と一緒にRhinogobiusさんに付いて回る。この間、Tさんは実は配管マニアであることも判明した。

この円形水槽中にはかの希少淡水魚の稚魚がいた。当館では今年初めて繁殖に成功したそうである。県大のかつての卒業生A君の研究成果は着々と活かされている模様である。

ハッタミミズの展示はこのような感じだった。水槽の手前にアクリル板をいれて作った1cmほどの隙間に1匹、あとは水田環境を模した後ろ部分の泥の中である。水中のハッタ君は気持ちよさそうに伸びていて、目視で長さ50cmはありそうだった。なかなかの貫録である。陸地がないので、糞塊はやはりガラス壁の水面上の部分にくっつけていた。

ハッタミミズを携帯で撮影する入館者。ちょっと嬉しい。

水族館では夏休みの企画として、ブラックナイト展示というのをやっていた。午後5時に本館の照明をすべて消し、小型の懐中電灯(生き物を刺激しないよう赤いセロハンを巻いた手作り感たっぷりのもの)で水槽を見て回るという催しである。生き物も解説板も懐中電灯で照らさなければ見えないので、お客さんも普段よりずっとじっくりと水槽を見ている感じである。見せ方としてはなかなかインパクトのある方法かもしれない。

「カンブリア進化の大爆発」の水槽で、懐中電灯で砂の上のタイヨウノスナ(有孔虫類)を熱心に探していたTさんが驚きの声を上げたので何かと思ったら、水槽中の岩を覆う小型の海藻上に生きたタイヨウノスナがびっしりとよじ登り、さながら真夏のクリスマスツリーの観を呈していた。こういうのを見つけてしまうあたり、Tさんの観察眼には毎度感心する。なお、この写真は画像処理により懐中電灯の赤色照明を消しているので悪しからず。