どうも、京大入試でのカンニング事件を偽計業務妨害容疑で立件しようとしているのが釈然としない.今回,警察の手を借りずにはカンニングの実行者を特定できなかったというのはわかるが、試験監督は大学教員の通常業務だ。そもそもことの起こりは監督者がカンニングを見逃していたことなので、あとで外部からの指摘を受けて対応策にてんてこ舞いしたとしても、それも業務のうちでしょうよ。
京大の試験監督体制の甘さを批判する声もあるようだが、事実,ろくに監督をしない教員というのも結構いるので(京大に限った話ではない)、そのとおりだと思う.私も過去に(どこの大学とは言わないが),一緒のチームで試験監督をした教授が試験室にパソコン雑誌を持ちこみ、揚げ句の果てに教卓に立てた雑誌の陰でぐーすか寝はじめたので,鼾でもかかれたらどうしようとヒヤヒヤしながら監督をした覚えがある。こういうのこそ業務怠慢で責任を問うべきではないのか。
既に大学に入学した学生と受験生を同列に考えてよいかどうかはちょっと考慮の余地はあるが、学生が教員を「余計な業務」で患わせるのは日常のことだ.私は例年,出席カードの代筆者チェックのために結構な時間を費やしているが(もちろん、見つけ次第、代筆者と依頼者の両方の出席点没収),では代筆をした学生は偽計業務妨害で逮捕されるのだろうか。そうではあるまい、単位を落とすというペナルティだけで十分なはずだ。大学は教育機関なのだから。
ついでに言うと,私は(いつも言っているが)大学内部で起きた事件を警察沙汰にすること自体は大賛成で、刑事事件に該当することならちゃんと被害届を出すべき。「大学の自治」?そんなもの、独法化の時点で完全消滅してますよ。