昨日は学生を連れて2年ぶりに貝類学会に参加し、2月に来学したK高校の生物部の皆さんによるコモチカワツボ防除の研究成果についての発表を聞き、さらに今年の調査内容と日程の打ち合わせを行った。また、最近見つかった両性生殖らしい個体群の生息環境についても、S先生や、雄を発見したTさんから直接話を伺った。さてこの話はどちらへ転がることやら。
懇親会では、久しぶりに貝類学会常連の画家のNさんとゆっくりお話ができた。今、カタツムリについての本を計画されているそうだが、カタツムリとナメクジの違いを這行様式の点から描こうとしておられるそうで(カタツムリとナメクジで這い方が違うというのは私も意識していなかった)、その理解の為に軟体動物全体の歩行様式を知るべく、学会前に鳥羽水族館へカセミミズの足の裏を見に行ったという。カセミミズの足の裏がどうなっているかなんてプロの軟体動物研究者だってまず考えたことがないだろう。画家や工芸家の方は人並み以上の観察眼があるから、生物に対してちょっと好奇心を広げられた時の着眼点が本当に面白い。研究のネタはどこにでもあるものだとワクワクする。
異業種交流ついでにもう一つ。
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/18
- メディア: 新書
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で、最近の大学論に関しては愚痴ばかりのようなつまらないものも往々にしてあるが、これはそんな本とは完全に一線を画し、現代文化・社会に対する深い知識と洞察力をもった著者が、自身が大いに楽しんでいる大学教育のおもしろさについて、学生への愛情満タン目線で語っている(もっとも、漫画や映画に精通している人ならもっともっと面白く読めたに違いないのだが)。今、内容をちょっと一文か二文引用しようかと思ったが、とにかく盛りだくさんなので斜め読みではとても紹介しきれない。大学教育関係者は是非ご一読あれ。