大学間交流の一環として,レイクスペリオル州立大学のMさんが来学された.Mさんは二枚貝を中心とした河川ベントスの専門家で,学位論文は河川の自然復元事業の評価だったということである.他にも,チョウザメの個体群調査やウの食性調査など,陸水生物の保全に関わる研究を手広く行っている非常にアクティブな方である.昨日は大学でセミナーを行ったが,今日は河川復元に関する日本の状況を紹介しようと,学生2名と一緒に自然共生研究センターのほうへご案内した.
センター長からここで行われている実験について説明を受けるMさん.
Mさんの話では,USにおける河川環境保全の最大の課題はシルト化(つまりは流域の侵食と土壌流出)だそうである.日本のような急流河川で,流出土砂の減少や砂利採取による河床低下が問題になっている状況とは,当然のことながらかなり違う.このあたりの地形的な環境問題についてはセンター長からたっぷり説明していただいた.私はその辺で見られる生物の説明など.センターの水槽に飼育されていたタナゴの生態を説明したら,この魚のことは全く知らなかったようで,とても面白がっていた.ちなみに,Mさんはチョウザメに特異的に寄生する二枚貝のを生物指標として,貝の分布域からチョウザメが湖からどこまで遡上するかを調べたことがあるそうなので,私とかなり似た仕事もしていた訳である.
午後はインフォーマルなセミナーと,木曽川のわんどの視察.残念ながら草が茂りすぎていて水辺には近寄れなかったが,堤防の上からおおよその地形は眺めることができた.Mさんが普段調査しているのは河川本流にすむ二枚貝なので,河川のタマリ(本来なら氾濫原やバックウォーターであったはず)生息地はちょっと興味深かったのではないかと思う..
午後6時に彦根へ戻り,学生たちも一緒にホテル近くの店で夕食にご招待した.学生たちが何か珍しいものをと注文した「海ぶどう」がなぜかMさんに大受け.