ジュネーヴから貴重な標本が到着。1876年に記載されたチリメンカワニナのタイプ標本だ。私が,チリメンカワニナと呼ばれている種の中に2型があるのに気が付いたのが修士2年の時だから,ざっとXX年の懸案事項だったわけである。その間,私の方はほとんど研究を進めていなかったのだけれど,カワニナマニアを自称する名古屋のTさんと,期待の若手であるT北大のK君とで,現在模式産地の近くに生息しているチリメンカワニナの正体をかなり追いつめていてくれた。そして,私の方は,偶々小ネタ論文を書くに当たって,関係する標本がジュネーヴ博物館にあることを科博のHさんから教えていただき,「おっ,それならチリメンのタイプ標本もあるかも」と尋ねてみたのがそもそもの経過である。しかも,ジュネーヴ博物館(HPはフランス語)との交渉には,レマン湖で何年も調査をしていた,ウチの大学の新任教官Hさんの力を借りることができた。まさに「天の時,人の和」である。
これで,現在とれる貝の形態・遺伝情報と,模式標本がそろった。この種に関してやっと一歩前進である。