昨晩は研究室で交換留学生歓迎のたこ焼きコンパがあった。Bさんの研究手伝いでたまたま来学中の卒業生S井君がその席に来ていて,曰く「今晩あたり,琵琶湖の某所でビワコオオナマズの産卵がピークだそうですよ」という。なぬ!
卒論生N井君の研究テーマで,湖内のオオナマズ寄生虫のデータはなんとしても入手したいところであった。そこで,春から何人かの方に声をかけて「オオナマズがとれたら下さい」とお願いしてあったのだが,今まで一件の連絡もなかったのである。こんな千載一遇のチャンスを逃してなるものか。
というわけで,急遽S井君の車にN井君と同乗させてもらい,夜の9時半過ぎに大学を出発して,深夜の湖岸に向かった。
目的地に着くと,湖岸にかなりの人数が見えた。最初に会った2人は,予定通りに水中カメラで映像を狙っている隣の学科の院生たちであったが,他はだれだろう。ところで近づいてきた人々を見ると,…,えと,WWFのMさんに,写真家のN村さん,B博のお二人に,地元の「魚のゆりかご水田」関係者のAさん(環境FWでお会いしていた方)…,なんだか濃ゆい顔触れだ。真っ暗やみの中でなぜか始まる自己紹介と名刺交換。だれともなく「あと院生Kが来れば揃うな」という言が飛び出す。彼も来る予定らしい。
ライトで水中を照らしてみると,そこここに,悠然と近づいてくる大魚の姿。

フラッシュをたくと目が赤くなるのだなあ。それにしてもでかい。平均でも90cmぐらいはありそうだし,大型のは1.2mぐらいありそうだ。先を切って泳ぐひときわでかい個体は多分メスだろう。そのあとから,平均するとやや小型のオスが追尾し,ナマズ独特の巻き付き産卵を始める。

研究用のサンプル個体を捕まえるのには,皆さんの協力をえることができた。もちろん琵琶湖にしかいない貴重な魚なので(絶滅危惧種ではないが),研究目的とはいえ,いくらでも捕ってよいわけではない。必要最小限の数,それも放精を終えたオス個体を狙う。先に湖岸に寄って待機している個体はほとんどメスなので,オスを選ぶのは少し時間がかかった。しかも,夜が更けるにつれて接岸するナマズの大きさが次第に大きくなり,私たちの網でとれるサイズの個体がほとんどいなくなる。そういうわけで思ったよりも時間を食ってしまったが,なんとか報告はできそうな数にはなった。まだ現場に残る皆さんに辞して,帰学したのは午前3時半。
で,今日はN井君が昼から解剖と寄生虫の検査をしている。明日までかかるだろう。