バクテリアの塩漬け

ゼミで,今週末から海外での学会に参加する院生の研究発表を聞く。南極大陸の湖の環境とバクテリアバイオマスの話。
南極の湖は底のほうに密度の大きい4度前後の水が溜まって循環しないということは陸水学の教科書に出ているが,今日の発表の湖は底のほうの塩分濃度が猛烈に高い(ほぼ飽和)らしい。最初「19パーセント」と聞いてパーミルの間違いではないかと思った。海跡湖が煮詰まってできたそうだが,南極にも死海があるとは。
で,研究対象のバクテリアがまたおかしなことに,その高塩分の溜まった低層部に多いのだ。いくらそちらのほうが表層より栄養塩が多いとは言え,まるで塩漬けの汁の中で生活しているに等しい。高塩分が好きなのか,それとも表層は栄養が足りなくてやむなく低層にいるのかはわからないが,想像を絶する環境には想像を絶する生物がいるものだ。