フナの七面相

今日は漁師をしている県大卒業生から琵琶湖のコイとフナを送ってもらったので午後から解剖(フタゴムシ狙い)。ところで寄生虫の研究では宿主をきちんと同定することがとても重要なのだけれど、琵琶湖にはフナが3種いて、ゲンゴロウブナはさておき、ギンブナとニゴロブナは時に微妙な個体がいてかなり判別が難しい。成魚だと顔つきでだいたいわかり、口が前を向いておちょぼなのがギン、上向きで顎が角ばっているのがニゴロであるが、これだけだと判別できない個体がよく出るので、そういう時は図鑑に従って鰓耙数と血球の大きさ(3倍体のギンブナは2倍体のニゴロブナより血球細胞が一回り大きい)で判別する。今日判定したのは10センチ程度の若魚がほとんどであったが、まず顔貌で”アタリ"を付け、その後に鰓耙数と血球を見たところ、なんと私の見立てはほぼ全部が"ハズレ”となってしまった。つまり若魚ではおちょぼ口がニゴロ、顎が角ばっているのがギンという訳である。もしかするとフナは成長に伴って口の形態が変化するのかもしれない(おそらく食性も変化しているはず)。