研究室にいたら,中国からの留学生IさんとL君がやってきて「教えて欲しいことがあるんですけれど」という。聞くと、現在中国政府からの奨学金の申請書類を書いているそうで、その中にY/Nで回答する質問が十数個ある。その一つに「研究データは個人のものであって,ファンドや研究機関のものではない」という設問があった。「この前,こういう講義ありましたよね?」とL君。
そう、7月の研究倫理教育セミナーで、研究データの所有権についての議論があったのだ。営利企業ならばデータの所有権は会社にあるのだろうが、大学や研究機関ならば研究の自由があるので、基本的にデータは個人のものになるはずだ(まあ、現実にはそれを許可しない研究室も存在するのが問題なわけだが)。中国政府がどのような回答を期待しているのかは知る由もないが、一応基本的な線を答えると「ありがとうございます!」と喜んで帰っていった。さて、研究倫理教育セミナーは来年から大学院の正規科目になる予定なのだが、授業内容がすぐさま院生の役に立つという場面が実際にあることがわかったのは収穫。