洋のマカロニ、和のウドン

N澤先生から、日本の魚類条虫の最新目録をいただいた。なんと、全種類和名付きである。これはありがたい、今校正中の寄生虫本にさっそく使わせていただくことにした。自分の命名センスの無さとボキャブラリの貧弱さにはほとほと呆れているもので。
当然の傾向として、ほとんどの条虫の標準和名として「○○条虫」が提唱されている。標準和名の作法にのっとりカタカナ書きすると「○○レットウジョウチュウ」とか「○○クルミヨウジョウチュウ」とかなり長く、お堅い名前である。ところがページをめくってみると、ちょっと異色の名前が目に付いた。
「ウドンムシ(饂飩虫)属 genus Ligula」
これはN澤さんの命名ではなく、1910年代から30年代にかけて実際に論文で使われた名称であるとのこと。リグラを知っているとまさに「そのもの」で、実に分かりやすい名称なのだが、直球過ぎて思わず苦笑い。なお、「目黒寄生虫館物語」には、イタリアでこの寄生虫がマカロニ・ディ・マーレ、海のマカロニと呼ばれていることが記されている。差詰めパスタムシといったところで、もしかしたらウドンムシはこれの和訳かも、と思う。