「小さな自然再生のすすめシンポジウム」を聴講してきた。ウチの大学のM川先生、自然共生研究センターのH田さん、同じく元共生センターのS川さんなど5名の講演で、お役所や市民団体などそれぞれの立場から、河川の自然再生への取り組みを語っていただいた。授業の参考になりそうなことをあれこれメモする。
ところで、最後の総合討論の時、京都で天然アユの再生に取り組んでいる府職員のNさんから、鴨川の段差解消の為に竹製の蛇籠を置こうとしたところ、河川管理者から「子供が足をひっかけたりしたら危ない」とクレームがついて設置出来なかったということ、それから竹蛇籠を編むことができる人は現在の日本に二人しかいないという話を聞いた(編み方が非常に難しく、竹の割りかたなどのノウハウも多くてちょっとやそっとで習得出来るものではないらしい)。今や伝承が危ぶまれる貴重な伝統技術ということである。私はそれを聞いて、治水工法としては竹蛇籠の価値はもう存在しないのかもしれないが、文化的な面からは残そうという声がもっと出てもよいのではないかと思った。実は、私が蛇籠というものの存在を知ったのは河川の現場ではなく、たまたま眺めていた着物の文様に関する本である。蛇籠は文様の一種であり、江戸時代から蛇籠を含めた身近な河辺の風景が和服の意匠として使われているのである(こちらのサイトに画像あり)。特に京都では、伝統的な和服の意匠として使われてきた風景の復活というのはとても意味があることではないかと思う。京友禅組合あたりと結託して、鴨川の改修に積極的に竹蛇籠の利用を推進できないものだろうか。