100年後の知己

ヤリタナゴ虫のセルカリアを記載中。ところで、このセルカリアは実は初発見ではなく、1915年(大正4年)にH. K.教授がかなり詳細な記載をしている。当時H. K. 教授はこれをナマズ虫(これね)の子と推定したのだが、体構造はおおよそは似ているものの、決定的に異なる点が一つあることを疑問点として論じている。今回、これが新発見のヤリタナゴ虫と結びついたことで、H. K. 教授の抱いた謎はようやく解けた訳である。なお、そのナマズ虫の成虫も実は同じ論文で新種記載されている。現在、ナマズ虫は海外のものと同種とされてH. K. 教授のつけた学名はシノニム扱いなのだが、師匠とオーストラリアのCさんの共同研究で、日本産のものは独立させるべきという結論になりつつある。従って、近々H. K. 教授の命名した学名が復活することになる。H. K.先生は1969年に逝去されているので当然会ったことなどないが、きっとどこかで喜んでおられるんじゃないかなと思う。