無題

河北新報

http://www.kahoku.co.jp/news/2009/05/20090514t13034.htm

大学院で,指導教員との不和や,指導能力不足などが原因で学位取得に行き詰まるケースは少なくないし,教員も人間である以上,そういうことを完全に防止することは難しい.大学は,組織としてこういうことを未然に防止し,かつ,問題が発生してもなるべく円滑に解決できるような道を用意しておく必要がある.そのために「複数教員指導制」があるわけだが,ネット上のいくつかの報道の中で,そのことについて触れているのは河北新報だけだった.個々の教員の責任はそれとして,大学という組織として「複数教員指導制がうまく機能していなかった」ことは,大学院指導体制の不備として重く受け止めるべきではないのか.他の指導教員も.保護者から内部調査を要求されるまで,越年している大学院生の研究の進展状況を把握してなかったことの責任は,何らかの形で問われるべきではないのか.そうしなければ,大学側が自ら,複数教員指導制がなんら実質を伴っていないことを認めることになり,やはり旧態依然の教員と院生のたこつぼ的一対一指導関係が存続することになる.それではこの種の事件の再発は防げない.