琵琶湖寄生虫紀行

今日はYurlovaさんをB博にお連れするので、草津へ。
草津駅で、Yurlovaさんと、同行のT北大学のスタッフTさんと合流し、バスで博物館に向かった。学芸員室に行ってみると、今日出勤しているはずの寄生虫担当Gさんの姿が見えない。あれ?と他の方に聞いてみたら、今日は一日琵琶湖に出ているという。あらまあどうしようと思っていたら、本日午前中に県庁に出張しているN井さんから伝言があり、昼過ぎには博物館に戻ってこられるということだった。それなら、それまで展示を見ていよう、ということになり、開館時間を待って3人で館内へ。
午前中たっぷり使って館内を見学し、レストランで名物バス丼を食べ終わった所で、タイミング良くN井さんから「戻った」という電話が入った。それで学芸員室へ行ってあれこれ(どこか貝の取れそうな所はあるか、など)話をしていたら、月曜日にN井さんが漁師さんに同行して船で魚貝のサンプリングに行くので、それにYurlovaさんを連れていってくれるという。それならきっと琵琶湖の生物を十分楽しむことができるだろう。いや、ホントにありがたかった。N井さんに声を掛けておいて大正解だった。
そのあと小一時間博物館の前の湖岸を歩き(残念ながら、琵琶湖の水位がまだ高めなので貝はあまり取れなかった)、彦根へ移動。大学の一つ手前の八坂北町でバスを降り、犬上川の河口でちょこっと琵琶湖をみてもらった。彼女のフィールドであるロシアのチェニー湖は琵琶湖よりずっと大きくて対岸が見えないそうだが…。
研究室について、さて何からみてもらおうかなあと考えていたら、Yurlovaさんがいきなり本棚の物色を初めて、「これらの本は海外で買ってきたのか」等々の質問をされた。なるほど、ロシアでは洋書を購入するのは日本ほどフリーではないのかもしれない。必要な文献はコピーしてもらうことにした。
Yurlovaさんがコピーを取っている間、廊下でM尾さんに出くわし、聞くと「今から組合の懇親会だから、生協で晩ご飯がタダで食べられるよ」という。Yurlovaさんも一緒で大丈夫かと思って尋ねるとOKということなので、それならと二人して押し掛けた。ごちそうさま。
研究室に戻り、セルカリアの標本などを見せていたら、ノックの音がして顔を出したのがエコキャンの2回生3名であった。「昨日の雨で水路に上がってきたナマズが捕れたんですけど、いりますか?」という。おおグッドタイミング、ナマズ虫の実験はまだ成功していないし、ありがたくいただくことにした。体長56センチの立派なマナマズで、浮袋を裂いてみると3匹のナマズ虫が出てきた。ナマズ虫はロシアにもいるが、極東地域だけに分布するので、Yurlovaさんも見るのは初めてだったらしい。ナマズ虫のロシア語文献(共生センター時代に高い料金を払って業者に翻訳してもらったヤツ)を持ってきて、それを訳してもらうと、第二中間宿主への感染経路について、私が今まで読み切らなかったディテールがわかった。また、ナマズ虫の感染実験のやり方についてひとしきり議論になり、参考になる知見を2,3いただいたので、今日のムシが生む卵を使って早速実験をしてみよう。横で学生諸氏がずっと話を聞いていたので、寄生虫がいかに興味深い生き物であるかを熱く語り始めるYurlovaさんであった。
明日は再びB博へ行く予定。