ストーブ来ました。やっとこれで寒い思いをしなくてすみます。
ナマズ虫の卵の観察を続けているが,どうも芳しくない。ナマズ虫は,見かけはだいぶ違うがヒガイ虫と近縁で,卵の中の幼生はとてもよく似ている。この仲間の卵はちょっと変わっていて,普通の卵殻の内側に,トゲトゲのついた皮があり,さらにその内側にムシの中身があるという三重マトリョーシカ構造である。トゲ皮虫の状態で宿主の貝に進入し,そのあと皮をぬいで(”脱皮”とは違うようだが)増殖を開始するらしい。さて,ヒガイ虫の産みたて卵を顕微鏡で見ると,卵殻の中でトゲ皮虫がもぞもぞ動いているのがわかるのだが,今回見ているナマズ虫は全く動きがない。殻を押してみると中からトゲ皮虫は飛び出してくるが,やはり動かず,トゲ皮虫の「中身」らしき構造もほとんど見えない。トゲ皮はもしかしたら卵殻の一部なのだろうか。
ナマズ虫ヒガイ虫だけでなく,この仲間には将来貝への感染実験を定量的にやってみたい種類がいるので,何としても実験室内での維持のテクを発見しなければならない。ところが,この科で魚類寄生性の種の生活環の研究を調べてみたら,なんと貝への感染に成功した例がなかった(両生類寄生性の種では成功しているが,種数としては魚類寄生性の方が圧倒的に多い)。何か,とんでもない難物のようである。はてさて。