環境寄生虫学?シンポより

今月初めにドイツのFreudenstadtで開催された,地球の環境変動と寄生虫の国際シンポジウムのアブストラクトを頑張って読む。まだ途中で,invasive species, pollution, climate changeのセッションを読み終わった段階だが,いくつか面白い話題も。
寄生虫と環境汚染物質の関係は一筋縄では行かない,鉤頭虫の一種がつくと,魚の肝臓における鉛の代謝サイクルが阻害されて鉛の蓄積量が減る。また,PCBはウナギの免疫を抑制して線虫にかかりやすくする。一方,コイをカドミウムアンモニアに暴露すると,白血球などが刺激されて住血吸虫が減少するそうだ。
シンポのオーガナイザーであるSuresによる重金属汚染の研究は相変わらず続いていて,やはり鉤頭虫が顕著に生物濃縮をするらしい。以前はクルマによる環境汚染の指標として鉛の検出をしていたが,無鉛ガソリンの普及で鉛の排出が減り,そのかわりに触媒コンバーターに使われるプラチナなどが微量ながら環境中に放出されているとのこと。これも,鉤頭虫はしっかり濃縮して,宿主の数十倍の濃度が検出されるとか。でも,プラチナってそれ自体は汚染物質ではないだろうから,別に検出されたって構わんじゃないかという気もする。そういえば,以前筑後川のアユの寄生虫から蛍光x線分析でプラチナがえらい高濃度で出たけれど,あれは近い波長のものをミスリーディングしただけだろうなあ。もし本当にプラチナだったら寄生虫を集めて一山当てることができる(ありえん)。