ニナ祭り

今日は朝から宇佐神宮放生会を見に行く。http://www.usajinguu.com/Frame.html
放生というと、普通は魚や亀を放つのだが、ここのは河口の貝を放流するのだ。その謂れは、昔この地で隼人族との戦があり、その後川に蜷(にな)が増えたため、土地の人がこれは隼人の霊の化したものであると考え、その霊を慰めるために毎年蜷を川に放流するようになったのだそうな。貝の習性を多少知っている者にしてみれば、隼人の死体にスカベンジャーの巻貝でもたかっていたのだろうという気もする。
放生会全体は3日間あるのだが、今日は朝8時30分から、末社の西貝神社で蜷饗(になあえ)の神事である。小学生の祭囃子に先導され、蜷を包んだ葦苞(あしづと)が三方に載せられ、神主さんに捧げ持たれてしずしずと到着。ここで、電池の残量を確かめてきたはずの私のデジカメが動かなくなり、以後の写真撮影を諦めざるをえなくなった。これも日ごろ大量虐殺しているニナの祟りか。
葦苞はお神酒、餅、鯛などのお供えとともに神社正面に置かれて、御祓いだの祝詞だのを受ける。その後、また祭囃子に先導されて、寄藻川の岸にある浮殿(うきでん)へ移動。
浮殿への道すがら、用水路を覗き込んでみる。マルタニシが多いが、それにも増してジャンボタニシの多いこと多いこと。田んぼの中はジャンボタニシの稚貝だらけで、田んぼの四隅には死に殻が積もっている有り様である。これもニナ供養の功徳なんだろう。
浮殿に到着したあと、放生会が始まるまで寄藻川の生き物を見に行く。最初にアプローチした所は用水路の水が直に流れ込む所だったので、貝といっても悲しいことにジャンボタニシばかり。がっかりして、次に浮殿のすぐ下へ下りてみると、そこはヨシ帯でいろいろな貝の姿が見える。フトヘナタリ(この川には他にもクロヘナタリやシマヘナタリもいるらしいが、私は正確な見分け方は知らない)が至る所のアシの茎によじ登り、オカミミガイがそこら中にごろごろしている。カワザンショウの仲間もいるし、石の上にはヒロクチカノコがすぐに見つかった。よしよし、こうでなくちゃ。放生しているすぐ横で採集というのは若干気がひけたが、同定のために最小限の貝をカバンに忍ばせた。
神事のあと(神仏混交なのでお坊さんも出席)、一同は蜷とお供え物を携えて寄藻川本流の岸へ。行き先は水質の観測塔(2級河川だから県のだろう)であった。観測塔の左右には広いコンクリートの階段が川へ向かって降りており、イベントをやるにはうってつけの場所である。寄藻川本流の河岸は、一見の価値のある見事な干潟が広がり、一面カニの穴だらけで、トビハゼもたくさん跳ねていた(帰ってから調べたら、アシの移植事業もおこなわれているようですね)。http://www.coara.or.jp/~venus/yorimo-ukiden.html
川岸でまたまたお祓いと祝詞のあと、いよいよ本日のメインイベント、ニナ撒きである。神主さんがコンクリート階段の上から、まずお供えの米を撒き、次にお神酒を撒く。この間、お坊さんは般若心経を唱える。そして、最後に葦苞を開けて、中のニナを川に撒く…のだが…