読書の夏

昨日、古本屋からの本が届き、読み始める(ネットで古本の検索ができるようになってから、懸案だった本をずいぶん手に入れた。古本屋巡りの楽しみをやめたわけではないが、便利になったことは事実である)。ノーベル賞作家が書いたある宣教師の伝記であるが…
えーっと、まあ…あのですね、もちろん作者の筆致は申し分なく一流で、訳ももちろん上手で読ませてくれるのですけど…
書いてあることはですね…まあ、自分の思想が正しいと信じ切っているアメリカ人のですね…人並みの感動とかとは無縁のですね…家族への配慮なんて言うのは皆無のですね…思いっきり女性蔑視のですね…そのくせ魂の救いのためなら地の果てまで出かけちゃうようなですね…イラク派兵なんて言うのもこの延長線上にあるのかなあと思わず納得してしまうようなですね…
これでは訳本が絶版になるのも仕方ない。この作家を特に研究でもしている人でない限り、なかなかもう一度読もうという気にはなれないでしょうね(ため息)。
こういう救いのない(変だな、宣教師なのに?)主人公を庇いもせず憎みもせずに小説化できる作者はやっぱり偉大なんでしょう、きっと。