標本流儀

昨晩は寄生虫学会北日本支部会の懇親会に参加しました。本来,北海道の会員のみで実施される会ですが、今年はオンラインなので全国どこからでも参加自由。そこで、事務局のS先生が「標本を語り倒す」という、飲みながら標本の作り方について自由にトークする企画をしていただきました。日本の寄生虫学教室は山口左仲メソドを引き継いでいるところが多く、標本は圧平するのが基本になっています。虫体が変形するとして海外の研究者からは批判されることが多いのですが、それでも細部の観察のしやすさでは圧平標本の方がダントツに上です(実際に海外の新種記載論文を見ると、吸盤・消化管・卵巣・精巣・卵黄腺程度しかスケッチしていない場合もあり、もっとちゃんと観察しなよ…と思うこともしばしば)。圧平すると虫体が伸びるので確かに計測値は大きくなりますが、同じやり方で作った標本なら比較可能なはずですから,私も圧平標本は別に悪くなく、「寄生虫標本とはそうやって作るもの」と決めてしまえばよいだけと思います。圧平しない方がよいのは条虫の頭節など、三次元的な構造の観察が重要な場合だけでしょう。

ウォーミングアップ

検査疲れもほぼ回復して通常運転に復帰。緊急事態宣言は解除になったが、今週いっぱいはリモート授業ということで「環境生物学I」第1回目はオンデマンド配信になった。来週からは対面授業になるが、また試験がどうなるかわからないので、昨年同様、毎回出席確認を兼ねてオンラインで小さな課題を一つ出し、それを評点に加えることにした。第1回は頭のウォーミングアップを兼ねてこんな感じ(元ネタは随分昔に「遺伝」に出ていた中井咲織先生の記事)。

次の「進化」という言葉は生物学的に正しいか。もし間違っている場合は,正しい言葉に変更せよ。
1. ピカチュウは「かみなりのいし」を使うとライチュウに進化する。
2. 大谷翔平エンゼルスへ移籍して劇的に進化した。

コンプリート

春に言い渡された3つのしんどい精密検査の最後の1つが、半年越しでやっと終了。もちろん異常はなく、「キレイですね〜、問題ないですね〜」で終わり。検査自体のしんどさは想像したほどではなかったが、準備に時間がかかり、それなりに疲れたので今日は休養する(特別休暇を取得した)。

食べますか?

まだproofですが、短報がオンライン公開されました。アズマヒキガエルから宮崎肺吸虫の幼体が出たと言う報告です。おそらく待機宿主になっているものと思われます。中国にいる基亜種のスクリャービン肺吸虫Paragonimus skrjabini skrjabiniはカエル類からの記録がありますが、日本のmiyazakiiでは初。宮崎肺吸虫の感染ルートとして、サワガニ→哺乳類のほか、サワガニ→カエル→哺乳類もありそうです。

www.sciencedirect.com

リモート一発

朝,大学に着いたら研究棟からN田さんがひょこひょこと出て来るのに出くわした。「あ、m-urabeさん、ちょっと教えて!」と呼ばれ,そのまま一緒にN田さんの研究室へ。「今,(リモート)授業中なんだけれど、Teamsで画面共有ができないんだよ」と言われて一緒にパソコンをいじってみたが、私にも理由がわからずその場はゴメンナサイとなった(あとで、Teamsでは一度に1人しか画面共有ができないのに、受講学生の中に共有をしていた人がいたらしいと推測。参加者の画面共有を不許可にしておく必要があった)。私も今日は4限目に講義があり、Teamsでやるつもりだったが、これはトラブルに備えてバックアップが必要だなあと思い,午前中の時間を使って急遽スライドに解説音声を付け、オンデマンドでも対応できるようにした。そして授業時間になったら、案の定(?)画面共有が作動しない。というか、共有設定のウィンドウが開かない状態。アクセスしていた学生達に謝って、今日はオンデマンド教材を見て勉強してもらうことにした。以前は普通に画面共有できたのに、今日はなぜ?と思っていろいろ調べてみたら,デスクトップ版Teamsアプリの最新バージョンはMacと相性が悪く、システム環境設定でセキュリティ設定をいじっておかないと画面共有できないということが判明。一度だけのリモート授業でトラブル続出、やれやれである。

さらば夏休み

明日から後期授業です。まだ緊急事態宣言中なので今週一杯はリモート授業で、今日は2コマ分の音声付きPPTを作りました。月末で解除されれば、来週から対面授業になるのでちょっと楽になります(だれだ、リモート講義が手抜きなどと言っているやつ)。